アメリカではスマホ所持による弊害を憂慮して、最低14歳(アメリカにおける高校入学前の年齢)までは子どもにスマホを持たせないようにしようという運動(Wait Until 8th Pledge)が起こっています。
近所にいる親同士10組で14歳になるまでは子どもにスマホを与えないと協定を結び、子どもの間でもスマホを持つプレッシャーを軽減させる画期的なプロジェクトです。
一方で日本ではみんなでスマホを持たせる最低年齢を決めようという動きはなく、自己判断で決めるのが主流です。
そのため、「みんなが持っているから」という理由で安直にスマホを買ってしまうケースも多いのではないでしょうか。
前回の記事で、当ウェブサイトでは高校生(中学卒業時)が最適なタイミングだという結果になりました。
しかし、そうは思っていても、子どもがスマホを欲しいと思う年齢はもっと早かったりすることもあります。子どもが欲しいというのに根負けして安易にスマホを与えるのはリスクの高い行為ですので、おすすめできません。
子どもが欲しいと言っているけれど、高校生になるまで待って欲しい・・そんな時に使える実践的な方法などを今回の記事では紹介いたします。
今回の記事の内容:
子どもにスマホを諦めて欲しいシーン
まず、子どもがスマホを欲しがり始めるのは小学校高学年から中学にさしかかるあたりではないでしょうか。この時期にスマホを買い与えるのはそもそもスマホ機能を使いこなしていないなど、スマホをフル活用するような年齢でも無い上に、身体的な発達の阻害や精神面への悪影響を考えるととてもベストな選択とは言えません。
また、進学する時に友達とのつながりをスマホが無いと保てないなどの懸念がありますが、スマホではなくても他のデバイスで無料通話アプリなどをダウンロードすることによって子どもが欲しい機能を十分に提供することができます。
子どもがよく引き合いに出す理由
みんなが持っている
他の人が持ち始めると羨ましいのか、みんなが持っていると子どもは言います。そもそもその表現が大げさだということはありますが、いずれにしろ実際はみんなが持っているからと言ってスマホを所持しなければならないということにはなりません。
年齢別に応じたニーズに対して果たしてスマホ購入が最適なのか慎重に精査することが必要です。
友達の輪に入れない(LINEグループなど)
友達の輪が最近はLINEグループで形成されるなど、10年前の中学生の交友関係とは少し様変わりしている様子があります。
しかし、これも前述した通り、スマホでないとできないというわけでは断じてありません。スマホはあくまで友情関係をサポートするツールであって、友情関係の条件ではありません。
スマホゲームができない
スマホでするゲームはタブレットでもできます。
スマホを長時間見続けるよりは、タブレットの方が画面も大きく目が疲れにくいということとワイヤレス通信がある環境下に使用を限定できることが利点です。スマホはいつでもどこでも使用できるので、例えば授業中にまでスマホをしてゲームをしてしまうなどの危険があります。
スマホが問題な理由
月々の代金が高い
スマホはガラケーと比べてもパケット定額プランに必ず入らなければならないことが多く、大手キャリアだと月平均¥8,000など割高です。また、スマホ人気の機種iPhoneは¥120,000程機種代がかかるなど大変な買い物です。
その他にも、クレジットカードの使い方を誤り高額な請求をされる可能性もあります。スマホは高額なため、保護をするために追加でケースや液晶保護シールを買ったり追加の出費もあることを念頭に入れる必要があります。
ちなみに・・・
格安SIM:¥3,000/月x高校3年間(36ヶ月)=¥108,000
大手キャリア:¥8,000/月x高校3年間(36ヶ月)=¥288,000
人気スマートフォン:iPhone 10 ¥122,000 (機種代)
スマホケース(¥3,000)、液晶保護シール(¥3,000)、保証(¥10,000)=¥16,000
合計¥246,000~412,000ものお金が3年間にかかります。
この金額で家族旅行に行けるレベルの出費です。
常用するデジタルデバイスのため、依存のリスクが高い
他のデジタルデバイスと違って、簡単に持ち運べていつでもどこでも見れる常用性が、若いうちにスマホ使用することで問題になる可能性があります。モバイル通信やワイヤレス通信が際限なくずっとスマホをいじることができるので辞めどきがわからないままずるずるとずっと使用してしまう大人も多いのではないでしょうか。
気づかないうちに依存してしまうと、依存から立ち直るのには苦労します。そうなる前によく考えて準備をする必要があります。
視力や姿勢の悪化が起こりやすい
スマホ首やスマホ老眼などという言葉が出てくるような体への弊害があります。
常用性でも記した通り、長時間利用しがちなスマホは同じ姿勢ですることになるため、弊害が起こりやすいデジタルデバイスだといえます。また、夜遅くまで使用する場合は、ブルーライトの影響も侮れません。
睡眠時間が心身の発達に直接関係する時期に睡眠不足だと問題です。
また、その影響で勉強など日々の活動に支障をきたす可能性があり、注意が必要です。
子どもの初スマホ年齢を引伸ばす5つの方法
ひとえにスマホが欲しいと言っても、スマホ所持のタイミングは考えてあると伝えるとすんなり納得してくれるケースがあります。その場合は話し合いで解決できるでしょう。まだスマホを持つべきではないと考える理由と、子どもの意見を照らし合わせて議論し、中学卒業時には買ってもいいから、ということでそれまで待つように提案することで解決します。
しかし、高校生になったら買うと伝えてもなかなか納得してくれないケースがあるかもしれません。ここではスマホ購入を中学3年〜高校生まで引伸ばす5つの方法をご紹介します。
1. 自分でスマホ代を払わせる
未成年のスマホ利用実態をみても、スマホの利用目的の大半がゲームやSNSなど娯楽目的です。必要に迫られて、というのは高校生にならない限りはあまりありません。高校生になる前に欲しいというのであれば、自分で払わせることを条件に提示し、反応をみてみましょう。
月々のスマホ代にいくらかかるのかを説明し、金銭感覚を身につけさせましょう。
いわばまだ「使わなくていいお金」であることを伝えます(節約してほかのことに使えますよということ)。
自分で払えないのであれば選択権はスマホ関連費用を支払う親にあります。
2. LINEやスマホゲームは他のデバイスでも使用できることを伝える
LINEやスマホゲームといったアプリの類はタブレットなどでもダウンロードし、使用することができます。WiFiを使用した通信は場所が限定的で、通信しすぎることも少ないため初心者にはモバイル通信よりおすすめできます。
画面がスマホよりは大きいので目への負担がスマホよりは小さいのが利点です。
3. プレゼンさせる
それだけ欲しいのだったら必要である理由と、どう資金調達をするのかというプレゼンをさせましょう。親の冷静かつ批判的思考がベースラインで必要です。
4. Point Based System(ポイント制)を使う
責任ある行動を取れるという証明を子どもに証明してもらう方法です。
成績・お手伝いの回数・約束を守ったかどうかなどを基準にポイントを稼ぎ、逆に成績不振・約束を守れなかったりすると減点します。一定数のポイントを稼いだらスマホをもらえるというシステムです。また、必要ポイントを下回るとスマホをもらえなかったり、取り上げられます。
学校によって学期数が違かったり、個々の家庭で押さえたいポイントが違うので個人個人で柔軟にルールを作ることをお勧めします。この方法の利点は親御さんがお子さんに守って欲しいルールなどを予行演習できることです。また、お子さん自身にもそれを遂行するインセンティブがあります。
その結果、高校受験や大学受験に差し障らないスマホの使い方をさせることができる可能性があり、責任ある行動を促すことができます。
5. 他の親と結託して子どもに高校入学まではスマホを買い与えないという署名をする
自分1人だけじゃなく、他の子どもも同じ条件で買わないということだと友達からのプレッシャーが少ない分幾分か心持ちがちがうかもしれません。8人くらいのグループを親同士で作って、そのグループ内では子どもに高校生になるまではスマホを買いませんという旨の契約書にサインをしましょう。
<参考> Wait until 8th Pledge 中学卒業まではスマホを買うのを待ちましょうという運動
大人数でスマホ所持の年齢を考えるという点では、学校に働きかけてみるのも手かもしれません。学校としてスマホ所持推奨は中学卒業時という風に後押ししてくれると、心強いですよね。また、契約遂行も個人よりは大人数でしたほうがやりやすいということもあります。
まとめ
小学校や中学でスマホを欲しがるお子さんを説得したり、うまくその年齢を引き上げる方法は見つかりましたか。
この記事でご紹介したのはあくまで高校生になるまでスマホ購入を引伸ばす方法です。中学卒業時に買い与えることは約束し、それは守ることが前提です。スマホ中学卒業時購入を引き合いに出して話し合う分、中学卒業時にそれを親は守る義務が発生することを留意してください。
実際にスマホ購入の段階に差し掛かると、ルールを決めたり、メリット・デメリットを見極める準備が必要です。大変な買い物ですが、リスクを抑えることができればメリットを活かした使い方をすることができます。
これからも記事を更新していくのでお見逃しなく!